YouTubeが始まったのは、2005年2月14日。

そこから現在に至るまでずっと基本使用料無料のサービスとしてYouTubeは展開され続けてきました。

 

そのYouTubeが「全体ユーザーを有料化」する事は起こりうるのか?

述べていきたいと思います。

 

”完全有料化”はまずありえない

 

最初から結論を言ってしまえば「有料化はまずありえない」と言っても良いでしょう。

 

何故なら、インターネットで出来るビジネスの在り方と相反する方式ですし、Google(実は、YouTubeの運営元です)にとっては無償の会員であってくれるだけでありがたいと感じられるからです。

 

PS:無料のYouTubeにより良いサービスが付く有料会員サービスならあります。「Youtubeプレミアム」というものです。

 

YouTube完全有料化は、ネットで課金される手順に反する

 

インターネットで収益化する基本は「基本使用料0」にあると考えてよいでしょう。

  1. まず無償でサービスを提供する
  2. 無償のサービスが気にいられる
  3. 「有料で上位のもっと便利なサービスもお付けします」とアナウンス
  4. 無償のサービスである程度の信用がある為購入される

こういう4段階が良く踏まれます。

そして、現状でYouTubeもまたこの4段階を踏襲したビジネスなのです。

 

 

これに近いこととして、大手家電量販店で買ったPCに勝手に入っていたソフトウェア(画像編集とかできたりするやつ)もこれと似たビジネスです。

  1. PC購入の時点でパソコンに勝手に導入されている
  2. 何となく使って使用感に満足する
  3. 何らかの方法で「もっと便利な有料版がある!」とアナウンスされる
  4. 今まで使って覚えているし愛着も沸いている為購入してしまう

人によりけりですが、こういうルートで買ってしまう人も居るでしょう。

 

 

話を戻しますが、YouTubeもこれと同じで、

  1. まず無償でYouTubeを使ってもらう
  2. 有料版の便利な機能を用意する
  3. 有料版もあります!と広告を出す
  4. YouTubeユーザーの一部が、有料版(YouTubeプレミアム)を購入してしまう

こういうルートで新規の有料会員を集めようとします。

 

と、インターネット上でサービスが買われる一連の流れが、YouTube上に既に完成している訳で、YouTubeは既にそうしている訳ですからここからわざわざ「全員有料会員制」に変える理由が見当たらないというのが私の持論です。

 

それに、無料会員には、広告が表示されます。

それをクリックするだけでもれなくYouTube運営に広告料が入る訳ですから無料会員だって実はお金を産んでいるのです。

そういう人たちをわざわざ「有料会員の壁」で追い払う理由はどこにも存在しません。

 

 

YouTube完全有料化は、運営元Googleの意向に反する

 

冒頭にも述べたようにYouTube運営はGoogleです。

そのGoogleはもはや知らない人は居ないのではないか?という程の巨大組織になってきています。

 

そしてそのGoogleは「とにかく無料で高品質なサービスを展開して顧客を囲えるだけ囲い込む戦略」を取っている事が解ります。

 

追記:Googleの規模を日本最大手の広告企業と比較した

売上高(広告サービスを買ってもらった金額の合計)で表現しますと、Googleの親会社のAlphabetは343億ドル。

1ドル110円換算で、3兆7000億くらいの売り上げを誇る広告会社となっています。

ちなみに日本の広告業トップの電通は、7500億円くらいなのでその規模は一目瞭然です。

 

Googleの戦略は”大多数を囲い込むこと”

また、Googleはインターネット・検索、これらを掌握していく為に様々な努力をしています。

その中の1つがYouTubeなのです。

 

  • インターネットの動画サービスを無料のYouTubeで掌握
  • インターネットの検索という仕組みは無料のGoogleで掌握(ちなみにYahoo!も検索内容はGoogleとほぼ同一だったりします!)
  • スマートフォンのシェアをAndroidで掌握(有料ですがiPhoneとの価格差は歴然)
  • エクセル・パワーポインタ・ドキュメントを無料のGoogleのサービスで掌握

と、インターネット系のサービスをGoogleで掌握する為のあらゆる努力がされている事が解ります。

と同時に、インターネット業界と関連する所に片っ端から首を突っ込んでいる事が解りますね。

 

つまり少ないニッチな部分に食い込むのではなくて、あくまでもインターネットというくくりの中に存在する大多数の人間を囲い込んでいくスタイルなのがGoogleです。

 

そう考えると、一部の払える人だけが使える権利を有する「完全な課金制度」はGoogleのやり方と相反するのではないか?と思います。

そんな事をすれば大多数の人間が、別の無料動画サービスへ漏れだす事になりますから。

 

さいごに:有料化するとYouTuberが生活できなくなる

 

有料化に際して、こんなデータを見つけた。

YouTubeプレミアム会員の割合が解るデータだ。

 

YouTube Premium利用者は10代男性の約1割
YouTube利用者を対象にYouTube Premiumを利用しているか調査しました。

女性に比べ男性の利用率が高く、10代男性で10.2%20代男性で13.8%がYouTube Premiumを利用していると回答しました。

追記:20代女性のプレミアム会員率は5.2%でした。

引用元:TesTee(テスティー)調べ

【YouTube Premiumの利用意向度】(今度使いたいかどうか?)
10代男性 23.2%
10代女性 26.7%
20代男性 20.9%
20代女性 19.7%
※「利用したい」選択者

引用元:TesTee(テスティー)調べ

10代・20代限定かつ、男女・年齢それぞれの標本数が300強と、統計学的にはまだ不安の残る数値ですが、全く的外れな数値という訳ではないでしょう。

 

このデータからこんな事が解ります。

  • 全体課金を行うともれなく9割のユーザーが締め出される
  • 今後利用したいと答えた割合から追加で無料ユーザーの1割~2割程度が課金ユーザーになる余地がある。

さて、仮にそうなったら悲鳴を上げるのはYouTuberだろう。

YouTubeが完全課金制に移行し、2割のユーザーが追加でYouTubeプレミアム会員になったと仮定しよう。

 

それでも、視聴回数は3/10程度だ。

企業のタイアップ宣伝も3/10の視聴者数しか稼げない以上費用対効果が悪くなるし、再生数での広告収入も3/10に下落…

もちろん、YouTubeプレミアムになる事で会費の一部がYouTuberに還元されるとも宣言されているが、居なくなった無料のYouTubeユーザーの全額分を負担可能か?という話に繋がる。

 

結果、YouTuberにとっての収益性は落ち込む。

こんな事を起こせば当然の事ながらYouTube以外の配信サービスにYouTuber達が流れていってしまう事だろう。

YouTuberを失ったYouTubeに一体なんの魅力が残るのか…。

 

そして残されたユーザーもYouTubeからいなくなれば、YouTube自体が成り立たなくなる。

そういう事を勘案すれば、完全な課金化はされないとみるのがスジだろう。

 

まとめ

 

  • インターネットの慣例から完全有料化はほぼ無い
  • Googleの意向的にも有料化は考えにくい

というのが私の持論です。

 

未来はどうなるのか解りません。

でも完全な課金化は血迷った判断だと思うのです。

だから今後も課金におびえる事なく、YouTubeを利用し続けられるというのが私の考えなのです。